こんにちは!司法書士の髙山です!いやー気がつけば、今年が終わりますぅー😮💨来年は便器に落下することのない1年にしたいと思います😞さてさて本題へ。副業詐欺や高額スクール、情報商材の返金相談を受けていると、必ずと言っていいほど出てくる言葉があります。それが「説明は受けました」「理解したつもりでした」というものです。一方、業者側は決まってこう主張します。「きちんと説明した」「本人も理解したうえで契約している」。この“認識のズレ”こそが、副業詐欺トラブルの核心です。今回は、「説明された」と「理解した」はまったく別物であるという視点から、副業詐欺トラブルでなぜ返金や取消が認められるのか、法律的にどこが問題になるのかを、司法書士の実務経験をもとに詳しく解説します。
副業詐欺トラブルの多くは「認識のズレ」から始まる
副業詐欺の相談を受けると、被害者の多くは「説明は受けた記憶がある」と話します。しかし、内容を一つひとつ確認していくと、実際には重要な点を理解していなかった、あるいは誤解したまま契約していたことがほとんどです。
これは珍しいことではありません。人は専門用語や将来の話が多くなると、すべてを正確に理解することが難しくなります。特に副業や投資の話では、「稼げる」という期待が先行し、冷静な判断ができなくなりがちです。
このとき、業者は「説明した」という事実だけを盾にしますが、法律上はそれだけでは足りません。
「説明した」だけでは足りない理由
業者がよく使う言い分に、「重要事項はすべて説明した」「説明義務は果たしている」というものがあります。しかし、法律が問題にするのは“説明したかどうか”だけではありません。
重要なのは、その説明によって消費者が正しく理解し、誤認なく判断できたかという点です。形式的に説明しただけで、相手が誤解したまま契約していれば、法的には問題が残ります。
つまり、「説明された=理解した」とは限らない、というのが消費者法の基本的な考え方です。
副業詐欺でよくある「理解していなかったポイント」
実務上、被害者が理解していなかったポイントには一定の傾向があります。特に多いのは、「稼げるまでの現実的な作業量」「追加費用の有無」「失敗するリスク」です。
業者はポジティブな面を強調し、ネガティブな面はさらっと流す、もしくは質問されなければ触れないことが多いです。その結果、被害者は“良い話だけを理解した状態”で契約してしまいます。
これは「理解不足」ではなく、「誤認を生じさせる説明」によるものと評価されることがあります。
消費者契約法が重視するのは「誤認」
消費者契約法では、消費者が契約に至った過程で「誤認」があったかどうかが重要視されます。誤認とは、事実と異なる認識を持ったまま意思決定をしてしまうことです。
たとえば、「誰でも簡単に稼げる」と思い込んでいたが、実際には高度なスキルや長時間の作業が必要だった場合、これは明確な誤認です。たとえ業者がどこかで小さく説明していたとしても、全体として誤認が解消されていなければ問題になります。
この誤認が、消費者契約法4条に基づく取消の根拠になります。消費者契約法4条についてはこちらの記事もご参照ください。消費者契約法4条を5分で解説/詐欺じゃなくても取消できるって本当?
「理解したつもり」でも取消が認められる理由
被害者の中には、「自分も理解したつもりだったから、返金は無理ではないか」と感じる方がいます。しかし、法律はそこまで消費者に厳しくありません。
重要なのは、“合理的な消費者”が同じ説明を受けたときに、誤解なく判断できたかどうかです。専門知識のない一般人が誤解するような説明であれば、「理解したつもり」であっても取消が認められる余地があります。
つまり、あなたが完璧に理解できなかったこと自体が、直ちにあなたの責任になるわけではありません。
業者が使う「理解しているはず」というロジックの危険性
副業業者は、「説明資料を渡した」「動画を見せた」「同意ボタンを押させた」という事実をもって、「理解していたはずだ」と主張します。しかし、これは非常に危険なロジックです。
なぜなら、資料や動画の内容が分かりにくかったり、重要な点が埋もれていたりすれば、実質的には理解できていないからです。形式的な同意があっても、実質的な理解がなければ、消費者保護の観点から問題になります。
裁判や交渉の場では、「理解させる説明だったかどうか」が問われます。
LINEやZoom説明で起きやすい認識のズレ
最近の副業詐欺では、LINEやZoomを使った説明が主流です。これらの方法は、一見丁寧に見えますが、実は認識のズレが生じやすいという特徴があります。
リアルタイムで話が進むため、疑問点を整理する時間がなく、その場の雰囲気で「分かったつもり」になってしまうことが多いのです。また、成功事例を強調する話法により、冷静な判断力が奪われがちです。
こうした状況は、消費者が誤認しやすい事情として評価されます。

「書いてあった」「説明した」は免罪符にならない
業者はよく、「契約書に書いてある」「規約に記載している」と主張します。しかし、それだけで全てが正当化されるわけではありません。
重要事項が分かりにくい場所に書かれていたり、専門用語だらけで理解困難だったりする場合、それは実質的な説明とは評価されません。法律は、形式ではなく実質を見ます。
副業詐欺トラブルでは、この点が非常に重要な争点になります。
返金・取消を判断する際に見られるポイント
返金や取消が認められるかどうかは、次のような点を総合的に見て判断されます。説明内容、説明方法、消費者の理解状況、契約までの流れなどです。
特に、「理解できなかったことに合理性があるか」「業者が誤認を解消する努力をしていたか」が重視されます。消費者が質問しづらい雰囲気だった場合なども、消費者に有利に評価されることがあります。
単純に「説明されたかどうか」では終わらないのが、消費者法の世界です。
まとめ|「説明された」と「理解した」は別物です
副業詐欺トラブルでは、「説明されたのだから仕方ない」と諦めてしまう方が多くいます。しかし、法律上は「説明された」と「理解した」はまったく別の概念です。
重要なのは、あなたが誤認したまま契約していなかったか、その誤認を業者が作り出していなかったかという点です。そこに問題があれば、返金や取消が認められる可能性は十分にあります。
ひとりで悩まずにご相談ください。ちなみに髙山司法書士事務所では、相談料と着手金は完全に無料です。成功報酬のみで事務手数料もいただいていないので、返金させることができなかった場合、費用はかかりません。まずはお気軽にご相談ください。
今回はこんなところでほなっ!皆様よいお年をおすごしください😊

